ABOUT CARE 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に呼吸が一時的に止まる、または著しく弱くなる状態が繰り返される病気です。無呼吸状態は数秒から数十秒に及び、一晩に何十回、重症例では100回以上に及ぶこともあります。

この状態が続くと、深い眠りが妨げられることで日中の強い眠気や集中力の低下、高血圧、心疾患、脳卒中、糖尿病のリスク増加など、全身にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

画像:ゾーン株式会社提供


このような症状はありませんか?

以下のような症状がある場合、SASの可能性があります。

  • 大きないびきをかく
  • 睡眠中に「呼吸が止まっている」と指摘されたことがある
  • 夜間に何度も目が覚める、トイレに行く
  • 朝起きたときに頭痛や口の乾きを感じる
  • 起床時のすっきり感がない
  • 日中に強い眠気があり、居眠りしやすい
  • 集中力や記憶力の低下を感じる

これらの症状が一つでも当てはまる場合は、一度検査を受けることをおすすめします。


睡眠時無呼吸症候群の種類

SASは主に以下の2種類に分類されます。

1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS:Obstructive Sleep Apnea Syndrome)

もっとも一般的なタイプで、睡眠中に喉(上気道)が塞がることで呼吸が止まる状態です。肥満や加齢、扁桃肥大、下顎の小ささなどが原因で気道が狭くなり、空気の流れが妨げられます。
いびきが特徴的な症状であり、CPAP治療の対象となります。

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2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS:Central Sleep Apnea Syndrome)

呼吸を指令する脳の働きが一時的に低下することで、胸やお腹の呼吸運動自体が止まってしまう状態です。心不全や脳梗塞、特定の薬剤(オピオイドなど)が関連していることがあります。
CSASは稀ですが、より専門的な評価や治療が必要です。


検査方法(ご自宅での簡易検査)

当院では、ご自宅で実施できる簡易検査キットを提供しています。病院に泊まらず、普段通りの睡眠環境で検査できるため、気軽に受けていただけます。

検査の流れ

  1. お電話またはWEB予約で簡易検査をお申し込み
  2. 検査キットがご自宅に宅配便で届きます
  3. 就寝時に機器を装着し、通常通りお休みください
  4. 翌日、機器を返送
  5. 医師が検査データを解析し、結果をご説明します

検査費用

保険適用(3割負担の場合)で約2,700円程度です。


治療方法

SAS(特にOSAS)が診断された場合、主に以下の方法で治療を行います。

1. CPAP療法(在宅持続陽圧呼吸療法)

もっとも効果的で広く用いられている治療法です。睡眠中に鼻に装着するマスクから空気を送り込み、気道を広げて呼吸を確保します。
無呼吸を防ぐだけでなく、いびきの軽減や睡眠の質の改善にもつながります。

  • 使用には医師の処方が必要です
  • 月1〜2回の定期的な受診で機器の管理と使用状況の確認を行います
  • 保険適用により、自己負担額は月に約4,500円前後(3割負担の場合)

2. 生活習慣の改善

  • 減量(肥満の改善)
  • 飲酒・喫煙の制限
  • 睡眠姿勢(仰向けを避ける)

3. その他の治療法

  • マウスピース(軽症の場合に適応)
  • 外科的手術(扁桃摘出や鼻の構造的改善など)

放置してはいけない理由

睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放置すると、以下のような重篤な合併症のリスクが高まります。

  • 高血圧
  • 心不全・不整脈
  • 脳卒中・心筋梗塞
  • 2型糖尿病
  • 交通事故(居眠り運転)

まずはお気軽にご相談ください

「いびきをかく」「昼間に強い眠気がある」など、気になる症状がある方は、早めの検査・治療が大切です。
当院では、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングから診断・治療・フォローアップまで一貫してサポートいたします。

文責:小西弘樹 日本循環器学会 循環器内科専門医