ABOUT CARE 不整脈疾患(概説)

心臓の動きのメカニズム

心臓は全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。ポンプ機能で重要なことは出力(収縮力)と回転数(心拍数・リズム)で、心房と心室が連携をとって規則正しく収縮と拡張を繰り返しています。正常の拍動はトン トン トン トン トンと一定のリズムで1分間に60~80回拍動します。このリズムが崩れた異常を不整脈といいます。

不整脈の分類

不整脈は下記の4つのどれかに分類されます。

  1. 単発的に生じる不整脈(上室性期外収縮、心室性期外収縮)
  2. 頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍など)
  3. 徐脈性不整脈(洞不全症候群、房室ブロックなど)
  4. 致死性不整脈(心室細動、心室頻拍、心停止)

主な不整脈疾患についてご説明いたします。

1.単発的に生じる不整脈

上室性期外収縮・心室性期外収縮

規則正しい脈の間に生じた異常な収縮を期外収縮といいます。心臓のどこから異常な収縮が出現したかで、心房性(上室性)と心室性に分類されます。上室性期外収縮、心室性期外収縮はトン トン トン ント トン トン トン ント と、一定の間隔の中に、タイミングをずらして拍動がある。つまり時折脈がとんだ感じに拍動します。多くの場合には経過観察で良いですが、出現の頻度や、心機能の状態によって治療すべき場合があります。

2.頻脈性不整脈

1分間に100回以上の心拍がある場合を頻脈といいます。いくつかご説明いたします。

心房細動

通常、心房は頭側から尾側(足側)に収縮が伝わり、心室へと血液を送り出しています。しかし、心房細動では心房全体が細やかに震えた状態になっており、絶対性不整脈といわれる脈が不規則になった状態を呈します。トント ン ト  トン トトト  トンントンと脈は基本の調律もなく、バラバラ(絶対性不整脈)に拍動します。

Click ➡ 心房細動の検査・治療などについて詳しくはこちら

発作性上室性頻拍

心房と心室の間で異常な電気回路が存在し、正常な脈から突然に頻脈になる疾患です。幾つかの原因が存在し、先天的なものとしてWPW症候群があります。

発作性上室性頻拍では一定のリズムで1分間に140~160回拍動します。脈拍を調べるとトントントントントントントントントンと正常の2~3倍の速さで拍動します。

心房粗動

心房の収縮が1分間300回程度に早く規則正しく生じる状態です。心室の収縮は2:1や3:1で伝わり1分間に150回や100回になったり頻脈を呈します。

3.徐脈性不整脈

心拍が1分間に50拍以下の時あるいは脈の間隔が2秒以上に延長する状態です。意識消失をきたすことがあり精査を要します。

洞不全症候群

正常な脈と同じ経路(洞結節)で心拍の発生があるが、数が少ないもの洞不全症候群といいます。

房室ブロック

正常な脈と同じ経路(洞結節)で心拍の発生があるが、心房から心室へ信号が伝わらない状態です。 心筋梗塞など疾患に関連して出現する場合に加え、薬剤性(副作用)や、電解質異常によるものもあります。原因によってはペースメーカ治療が必要な場合があります。

4.致死性不整脈

出現すると致死性である。つまり突然死に至る可能性のある不整脈です。

心室細動

文字通り心室が細かく動く不整脈で、有効な心拍出が得られない状態になります。AED(電気的除細動器)の適応です。

心室頻拍

規則正しく心室が収縮するものの正常な収縮メカニズムではないことや、脈が速くなっていることで有効な心拍出がでない状態です。有効な心拍出が得られない場合にはAED(電気的除細動器)の適応です。 

心静止

心室がまったく収縮しない(静止した)状態です。

➡ 徐脈性不整脈、致死性不整脈に対するペースメーカ治療後の外来についてはこちら

不整脈の診断について

不整脈疾患は基本的に心電図検査で診断を行っていきます。しかし、症状が一時的なことも多く、症状があるときの心電図がないと診断できないことがほとんどです。
ご自身で症状出現時に橈骨動脈(手首の動脈)で脈拍を確認していただけると、診断の助けになることがあります。ご自身で検脈ができそうであれば、どれに当てはまりそうか一度確認してみてください。また、最近ではスマートウォッチなどで心電図記録ができれば確定診断に至る可能性も高まります。